はじめに

摘要

睡眠呼吸障害は，睡眠時にみられる呼吸の障害で，さらにそのなかの睡眠時無呼吸は睡眠中10秒以上の呼吸停止で定義される疾患で，気道の閉塞による閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea ： OSA)と，中枢からの呼吸ドライブの消失による中枢性睡眠時 無呼吸（central sleep apnea ： CSA),に分けられる.このうちOSAはcommon disease で，とくに成人男性には高率に合併し，日中の過度の眠気をはじめとする多彩な症状をも たらし睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome ： SAS)を形成する.睡眠呼吸障害は， 循環器疾患とも密接にかかわつている.まず，さまざまな心血管疾患，たとえば治療抵抗 性高血圧，心不全，冠動脈疾患，不整脈，大動脈解離，肺高血圧などに睡眠呼吸障害を高 率に合併することがわかっている.これらの心血管疾患に合併する睡眠呼吸障害はおもに OSAであるが，両者はただ単に合併するのではなく， OSA自体がさまざまな機序を介して心血管疾患の発症進展にかかわつている.