ミ卜コンドリァ局在型プロティンホスファターゼPGAM5とストレス応答

摘要

ミ卜コンドリアは細胞内のATP産生の中枢として機能するだけでなく，アポ卜一シス誘導やウィルス感染 応答といった細胞内のストレス応答のプラットフォームとしても機能する.一方で，ミトコンドリア自身も ATP産生に伴い発生した漏出性ROSなど，つねにさまざまなストレスに曝されている.最近では，こうした ストレスからミ卜コンドリア自身の品質を維持するための機構もまた，ミトコンドリアに備わっていること が徐々に明らかとなってきた.とくに，ミトコンドリア選択的ォ一卜ファジー（マイ卜ファジー）ゃミ卜コンド リア不良蛋白質応答(mtUPR)などの発見に伴い，ミ卜コンドリアストレス応答研究はいま，あらたな盛りあ がりをみせている.著者らは，このようにス卜レス応答とのかかわりが非常に高いオルガネラのひとつとして のミ卜コンドリアに着目し，このオルガネラに局在するストレス応答分子の機能解析を行っている.本稿で は，そのような分子のひとつである新規ミ卜コンドリァ局在型Ser/Thrプロテインホスファタ一ゼPGAM5に ついて，著者らがこの分子を同定した経緯から国内外からの最近の報告を概説したい.