ミ卜コンドリァ形態の異常と疾患

摘要

さまざまな細胞内の生理機能を担うミ卜コンドリアは必須なオルガネラであり，その機能と形態的な特徴 との関連性が注目されている.ミトコンドリアはチューブ状の膜構造であり，それがたがいにつながりネッ卜 ワーク構造を形成し，細胞のすみずみにまで広がっている.ミ卜コンドリアどうしの膜融合と分裂はその形態 を決める重要な因子であり，もっともよく研究が進hでいる.しかし，ミトコンドリアの内側にクリステ構造 とよばれる内膜構造があり，そこには酸化的リン酸化をつかさどる酵素群が集積している.また，ミトコンド リアはモータ一蛋白質により細胞内を運搬されており，神経細胞などの極性をもった細胞のすみずみにまで エネルギーを運ぶのに大きく寄与している.近年，このようなミ卜コンドリアの膜形態やその動きを制御する 因子がしだいに明らかになってきた.本稿ではこれらの因子の機能を概説するとともに，疾患との関連性についても述べる.