アトピー性皮膚炎とタクロリムス軟膏

摘要

タクロリムスは，筑波山麓の土壌より分離された放線菌が産生するマクロライド骨格を有する化合物であり，サイトカイン遺伝子の転写阻害を介してT細胞活性化を強力に抑制することから，まず移植領域においてシクロスポリンに匹敵する免疫抑制薬として臨床応用された．その外用薬，すなわちタクロリムス軟膏の開発は1992年よりわが国でまず成人アトピー性皮膚炎（AD）患者を対象に行われ，1999年11月に世界に先がけ成人用0．1％軟膏が発売されたのに引き続き，2003年12月には0．03％軟膏が2～16歳未満の小児用として発売となった．現在では世界59カ国のAD患者に使用可能となっているが，わが国では小児用としてのみ承認されている0．03％軟膏は欧米諸国では成人用としても認められている．