脈管増生度とリンパ管侵葉からみた乳癌再発予測免疫組織学的検討

摘要

乳癌の予後因子には，リンパ節転移の有無，腫瘤径，組織型，核異型度，ER·PgRの有無，HER2/neuの発現などがあるが，2005年のSt．Gallenのコンセンサスミーティングでは，これらに加えて組織学的なリンパ管侵襲が，治療方針を決定する指標としてあらたに組み込まれた．最近，あらたな抗体の開発により，簡便な免疫組織染色法を用いてリンパ管を識別することが容易となり，実地外科病理への応用が期待される．また，リンパ管だけでなく腫瘍血管の増生や血管への侵襲度が腫瘍の増殖，進展，転移にも深く関与しており，悪性度を表す主要な形質のひとつとなっていることは広く知られている．そこで今回，免疫組織染色を用いて，リンパ管侵襲（1y因子），脈管増生皮を評価し，その臨床的意義を再発予後との関係を中心に検討した．