大動脈脈波速度(AoPWV)

摘要

脈波速度(PWV : pulse wave velocity)は血管を伝わる波動の速度である,これは血管の硬さ(arterial stiffness)に比例して増す.血管の硬さとは,器質的には血管壁の硬化と肥厚,および内腔の狭小化があり,機能的には血管内圧の上昇および血管収縮があげられる. PWVの中でも大動脈脈波速度(Aortic pulse wave velocity : AoPWV)は末梢動脈に比べて機能的部分の影響が少なく器質的病変すなわち血管の素材そのものをよく反映する.加齢に伴い上昇するが動脈硬化の進行を主体とした生活習慣病では高値を呈する.最近では心血管系事故の予測因子としての重要性が高まり,また高血圧の病期診断あるいは降圧薬の効果判定にも大きな役割を果たしている.