水チャネルアクアポリンとその調節機構－VIPによるアクアポリン制御を介した下痢発症のメカニズム-

摘要

水チャネルアクアポリン（aquaporin）は，近年発見された膜蛋白のひとつで，さまざまな組織における促進的な水の移動に関与している．消化管においても，いくつかのアクアポリンのサブタイプが存在することが判明し，それらの分布·局在から生理的な役割について推測されている．また，腸管切除モデルやノックアウトマウスの解析からは,下痢や便秘との関連が示唆されている．著者らは腸上皮細胞様において，VIP添加によるアクアポリン3の発現増強を見出した．VlPは腸管運動や水·電解質の分泌を介して下痢の病態に深く関与しているため，アクアポリン3の発現増強はその病態をさらに促進していると思われる.今嵐過敏性腸症候群など脳腸相関からくる病態の解明において，アクアポリン制御という観点からのアプローチが必要であろう．