カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍

摘要

カテコールアミン（CA）誘発性多形性心室頻拍（CPVT）はきわめてまれな心室頻拍である．CPVTは3心拍以上2種類以上のQRS波形をもつ心室頻拍がCAまたは運動負荷で誘発されること,多形性心室頻拍の起こりうる病態が存在しないこと，QT延長症候群,Brugada症候群などが否定されたものと定義される．性別では男女差はなく，発症年齢は約10歳であり，ほぼ全例が失神をきたす．CPVTは非持続性が多く，多形，2方向性心室細動のタイプがある．運動負荷ではほぼ全例にCPVTが誘発され，プログラム刺激では誘発されず，LPは陰性である．約30％に家族歴を認め，7年で7～24％が突然死する．治療はβ遮断薬やCa拮抗薬は有効であるが，Naチャネル遮断薬は無効である．CPVTは予後不良で，高率に心室細動を起こす．CPVTの根治は困難で,ICD植込みの適応と考えられる．