ロボット支援下根治的膀胱全摘除術? 体腔内回腸新膀胱造設術

摘要

2018年4月，ロボット支援下膀胱全摘除術(RARC)が保険収載された.根治的膀胱全摘除術は高リス ク筋層非浸潤膀胱癌や筋層浸潤膀胱癌の標準的治療法であるが，その手術侵襲は食道全摘除術に匹敵す る高度の侵襲を伴う治療法である.低侵襲手術として腹腔鏡下膀胱全摘除術や腹腔鏡下小切開膀胱全摘 除術がすでに保険収載されていたが，これらの従来法を凌駕する低侵襲性と良好な操作性が評価され， ロボット支援下膀胱全摘除術が保険診療として認められた.膀胱全摘除術で膀胱を切除したあとには，尿 路変向術が必要である.さまざまな選択肢が存在するが，尿道が使用できればスト一マフリーで自然排尿 が期待できる新膀胱もメインオプションとなる.新膀胱造設には回腸を利用する場合が多し、が，それを体 腔内で造設する方法と，手術支援ロボッ卜をロールァゥ卜して体腔外で造設する方法の2種類がある.腸 管の操作は空気に触れさせず体腔内で実施するほうが生理的ではあるが,体腔内で複雑な新膀胱を造設す るには高度な技術を要する.本稿では，体腔内操作で回腸新膀胱を造設する際のコッと問題点を概説する.