バゾプレシン分泌過剰症(SIADH)の診断と治療

摘要

下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンであるパゾプレシン（AVP)の分泌は，主として血漿浸 透圧による調節を受けており，飲水や輸液により 体内水分量が増加して血漿浸透圧が低下すると， AVPの分泌が抑制され，水利尿が増加する.その 結果，体内水分量が減少し，血漿浸透圧は回復す る.これに対しバゾプレシン分泌過剰症(SIADH) では血漿浸透圧が低下しても，AVPの分泌が十 分抑制されないため，適切な水利尿が生じず体内 水貯留が進行して希釈性の低Na血症を呈する. 循環血漿量増加により二次的に尿中Na排泄量が 増大し，このことも低Na血症の進行に寄与する.