膵島の発生と分化

摘要

膵島の発生学は島細胞に限らず，広くペプチド性内分泌細胞の起源や性質を考えるうえで多くの示唆を与えてくれる．膵島のでき方をみると，個体発生のなかで，系統発生（進化）が繰り返されていることに気づくも膵島は基底顎粒細胞として腸上皮内に存在していたものが膵に移動することによって生まれた．島細胞の幹細胞はPYY/グルカゴン／インスリンを含む細胞で，これからホルモンを単独で産生する細胞が分化するとされている．最近では分化誘導因子の研究が盛hで，Pdx1,NeuroD，ISL1などが鍵を握るとされているが，これらの多くは神経系の発達にも関与している.島細胞は内胚葉の腸管上皮に由来し，ニューロンとは起源を異にしているが，神経系に固有の信号物質や蛋白鼠　 あるいは細胞内情報伝達系をもつことは興味深い．