好中球プロテアーゼによる肺傷害作用とプロテアーゼインヒビターによる治療

摘要

ALIとARDSとはその病態の同一性からALI/ARDSと呼称され，活性化好中球が主役をなす急性肺傷害のことである．生体に侵襲（おもに感染）が加わったとき，好中球ま肺に接着·集積するとともに活性化する．活性化好中球からは，エラスターゼ，活性酸象LTB_4などが放出され，肺毛細血管内皮を含む肺胞隔壁の広範な急性炎症反応である．ALl/ARDSの特徴である血管透過性亢造型肺水腫は，好中球エラスターゼにより血管内皮接合部,内皮細胞および基底膜が傷害されるために起こる．肺保護作用をもつプロテアーゼインヒビター（α_1アンチトリプシン）は活性酸素により酸化不活化されるために，好中球エラスターゼによる肺胞構築の破壊がさらに進むげロテアーゼ·アンチプロテアーゼ不均衡仮説）.治療上プロテアーゼインヒビターの役割は重要であるが，活性酸素によって容易に酸化不活化されないこと，組織移行性がよいことなどの要件が求められる．その要件に合致する薬剤としてONO－5046-Naが期待されている．