夜驚症治療の現状

摘要

夜驚症の成因については，恐怖の体験が発症誘因としてしばしばみられることより，以前は心理的問題から引き起こされると考えられ，その対応も母子関係を中心とした心理社会的要因を探し，その間題を改善すると夜驚も軽減消失すると考えられていたしかし近年，その病態生理も大脳の覚醒障害という視点から解明されてきており，また自然経過をみても短期間で消失するものが多く，早ければ1～2カ月で消失する例もみられる多くの夜驚症の症例については，対応はその癖態と自然経過を説明して家族の不安を取り除くだけでよいと思われる　 薬物治療や心理療法が必要なのは頻回に夜驚が出現する場合や，夜驚中に走りまわってけがをする危険があるとき，小学校高学年で発症した場合など，限られた小一部の症例である