コンピュータグラフィックスと医形態学の進歩

摘要

"百聞は一見にしかず"というように，複雑な構造物を単純化して可視化すると非常に理解しやすくなる．その方法としてコンピュータグラフィックスを用いた連続切片画像からの三次元再　 構築があるが，非常に手間のかかる仕事である．画像データをコンピュータに取り込む，すなわちA/D変換のところはそれほど困難なことではなくなってきたが，その後，注目している構造物の輪郭を抽出する作業に人手がかかり，肉眼解剖学の皮下組織をとり除き血管·神経を剖出する作業によく似ている．物を観察して要·不要を決定し，必要な物だけを抽出するところに知的な判断が必要で，これが非常に重要なところである．むだな情報を取り除き，整理し統合するのは情報処理の基本であり，高度な知的生産活動である．