抗IgE抗体療法 臨床効果と今後の動向

摘要

喘息や季節性鼻炎をはじめとするアレルギー疾患の病態において,lgE抗体は中心的な役割を演じている.IgE抗体はH鎖のCepsilon3ドメインを介してマスト細胞や好塩基球の膜表面に結合して機能を発揮することから,Cepsilon3に対する抗体で結合を阻止する治療戦略が考案された.ヒト化された抗短E抗体(抗IgE)が作製され,基礎的および臨床的な検討が加えられた,基礎的検討では,抗IgEの投与がフリーのIgEにのみ結合してIgEの受容体への結合を阻止し,受容体の数やIgE産生細胞を減少させ,即時型および遅発型の喘息反応を抑制した.臨床的には,喘息および季節性鼻炎で高い有効性と安全性を示し,とくに重症の喘息で有用であることが示唆された.今後,食物アレルギーへの適応や従来からの抗原特異的滅感作療法との併用効果などが模討課題として考えられている.抗短Eによる治療はアレルギー疾患の新しい治療法としておおいに期待されている.