ミ卜コンドリァのデ才キシリボヌクレオチドプールの酸化と細胞死

摘要

MTH1は，酸化プリンヌクレオシド三リン酸を一リン酸に加水分解することで，酸化プリンのDNAへの取込みを回避する.一酸化窒素に曝露された静止期のMTH1欠損細胞はミトコンドリアゲノムに8-才キソグァニン（8-oxoG)を選択的に蓄積し，ミ卜コンドリア変性を伴って細胞死に陥る.ヒ卜MTH1の発現により8-oxoGのミ卜コンドリアゲノムへの蓄積と細胞死は効率よく抑制される.一方で，8-oxoGに対合したアデ二ンを除去修復するMUTYHをノックダウンすることでもその細胞死は顕著に抑制された.一酸化窒素に曝露された細胞ではミ卜コンドリアのデ才キシリボヌクレオチドプールが酸化され，ミトコンドリアゲノムに取り込まれた8-oxoGに対合するアデニンなどの除去修復に依存して，細胞死が誘導されることが明らかになった.