感情障害に対する診断横断的な認知行動療法： 統一プロ卜コル

摘要

本稿では，認知行動療法のなかでももつとも新しい試みのひとつである診断檨断的アプローチに焦点をあて，その一例としてボストン大学のBarlow教授らが開発した統一プロ卜コルについて紹介する.診断横断的 アブローチとは，単一の精神疾患を越えて複数の疾患に対して共通の病理-治療メ力二ズムを想定し，それに 基づき，1つの介入により複数の疾患への治療を試みるアブローチである.こうしたアフロ一チに基づく認知 行動療法のなかでも，統一ブ口トコルは科学研究による検証がもっとも着実に進められている.統一プロ卜コ ルは感情科学などの基礎研究の知見をもとにして，既存のさまざまな認知行動的介入や原則をひとつの治療 として体系化したものである.対象疾患は不安障害やうつ病性障害といつた感情調整の不全を特徵とする感 情障害(emotional disorders ； 「サイドメモ」参照）であり，今後の効果検証が期待されている.