ACE2，Ang（1－7）-Mas系

摘要

レニンーアンジオテンシン（RA）系の生理活性物質としてはアンジオテンシンⅡ（AngⅡ）が非常に有名であり，生理活性もきわめて高い.しかし，RA系には1～8の8つのアミノ酸からなるAngⅡというペプチドのはかに，AngⅢ（2－8）およびAngⅣ（3－8）というように1位のアミノ酸から順に切られた形のペプチドが存在する．一方で8位のペプチド側から切られたペプチドがアンジオテンシン（1-7）〔Ang（1－7）〕である．1980年ごろよりアメリカのFerrarioらがAng（1－7）の生理的意義について数多くの報告を行ってきたが，2000年代になってからAng（1－7）の受容体の発見やAng（1－7）産生酵素であるACE2の同定および心不全の発症にかかわっていることが報告され，ACE2－Ang（1－7）系がふたたび脚光を浴びつつある．