産業疲労特定検診

摘要

最近ては，過重労働者に対して職場の所属長とともに産業医による面談が行われるようになってきた．これは社会問題ともなっている過労死を予防するとともに，最近あらたに問題となってきたうつ病や不安神経症，パニソク障害などのメンタルヘルス障害なとに対しても早期に対応することをおもな目的としている．しかし，実際の診療の現場ては問診票を用いて残業時間と主観的な臨床症状の把握を行っているにすぎす，職場環境ストレスによる労働者の心身の変化を正確にとらえることはできてもないのが現状てある．そこで，企業の長時間の時間外労働者に対しての過重労働·メンタルヘルス対策として行われている検診に着目し，著者らが提唱してきたいくつかのハイオマーカーを用いて長時間の時間外労働者の疲労状況を客観的に把握し，精神的·身体的疲労を把握する問診票と組み合わせて過重労働に伴う臨床病態の変化を早期に把握する産業疲労特定検診事業を提案したところ，2008年3月，経済産業省の新連携事業として認定され，予防医療を目的とした産業疲労·ストレス検診事業を開始することができた．本稿ては産業疲労特定検診の目的，内容，期待される成果などについて紹介する．