心臓血管系疾患に対するROCK阻害薬の研究と臨床応用

摘要

Rho-kinase(ROCK)は, 1990年代半ばに低分子量GTP結合蛋白Rhoの標的蛋白質として同定された細胞内セリン·スレオニンリン酸化酵素である.下等動物からヒトまで広く保存されている遺伝子であり, ROCKIとROCKIIという2つのアイソフォームが存在する(以下特記した場合を除き, ROCKと総称する).これまでの研究によりROCKは,さまざまなアゴニスト刺激による細胞内情報伝達経路に介在することで,収縮,増殖,遊走,遺伝子発現など,細胞の生理機能に深く関与していることが明らかとなっている.同時に,さまざまな疾患の成因にROCKが深く関与していることが示唆されており, ROCK阻害薬の開発と臨床応用が期待されている.