酒皶

摘要

酒皶は，顔面の紅斑，とくに頰部ゃ鼻部，前額部を中心として顔面の皮膚が赤くなることや寒 暖差ゃ日光照射による火照りを主たる症状とする，いわゆる「赤ら顔」を特徴とした疾患である， 症状の増悪にともなって尋常性痤瘡(二キビ）に似た丘疹（ブッブッ）や膿疱を生じて医療機関を受診することが多い.また，鼻の変形?拡大をともなう鼻瘤（びりゆう）をきたすことや，眼球や眼險の結膜炎を合併することもある.中高年以降に多く年余にわたり経過する慢性炎症性疾患であり，赤ら顔やほてり感によって患者のQOL (生活の質）を著しく障害する.ステロイド外用薬に よって悪化するため，安易なステロイド薬処方による医原性の酒皶増悪もよく見受けられる.ま た，酒皶症状がない患者でも，ステロイド薬の外用?内服療法やカルシニューリン阻害薬外用薬 (夕クロリムス外用薬（プロトピック?)ゃピメクロリムス外用薬（日本未承認薬)）の使用により酒 鈹に臨床的に類似した酒皶様皮膚炎が誘発され得る.ステロイドによる医原性皮膚炎として「ス テロイド酒皶」と呼称されたり，口囲に限局する場合に「口囲皮膚炎」と称されるが，基本的には 酒皶様皮膚炎と同義である.顔面の皮疹は原因検索を行ってから治療すべきであり，詳細な病歴 聴取と原因検索なしに「とりあえずステロイド外用薬で様子をみましょう」はやってはならない. また，効果が不十分にもかかわらずに長期にわたってのステロイド使用を繰り返すべきではない.