新生児横隔膜ヘルニアに対するNO吸入療法

摘要

横隔膜ヘルニア(以下本症)は新生児外科疾患の中でも,最も症例数の多い疾患の一つで,その予後も,未だ良好とはいえない.従来,本症の予後は良好と言われていたが,新生児救急搬送態勢が確立されるにつれ,症例数の増加とともに,搬送前や搬送中に死亡するような重症例が多数存在することが明らかになってきた.本症の重症例では,胎児期早期(20過以前)に腹腔臓器が胸腔内に嵌人し,肺の発育を妨げる.発育不良の肺は,出生時,肺での酸素化が不良の上,肺高血圧の状態となり,そのため肺を流れる血流量も低下し,ますます酸素化が不良となる.