慢性腎臓病·透析患者に伴う低血圧

摘要

腎臓病は高血圧を伴うことが多いため，いかに血圧を下げるかに注目が集まるが，使用薬剤の影響， 食事内容（脱水，減塩），腎臓病に伴う病態，透析治療などのさまざまな要因により低血圧となることも少なくない.腎機能が低下した症例では，降圧薬の蓄積による過度の降圧が起きやすいため，薬剤の代謝経路や透析性に注意し慎重に使用する必要がある.また，慢性腎臓病に伴う低夕ンパク血症や貧血も高度になると血圧低下の原因となる.透析患者では過剰な除水による血圧低下が多いが，透析関連合併症，透析に使用する薬剤や器材が関与していることもある.過度の低血圧は，慢性腎臓病透析患者のQOLや予後に影響するため，原因の検索と適切な対応が求められる.