網膜症がある患者の糖尿病コントロール-眼科医の立場から-

摘要

多くの大規模多施設臨床研究によって血糖や血圧または脂質のコン卜ロールが網膜症の進展を抑制することが報告され，網膜症をすでに発症している症例においても，血糖値をはじめとした糖尿病のコントロールが重要であることはいうまでもない.しかし，少数例ではあるが急速な血糖コント口一ル時に急激に網膜症が進行し，重症な網膜症に至る症例があるのも忘れてはならない.とくに，網膜症を有する症例では，治療開始時に血糖コン卜ロールが不良である症例が多く，急速に血糖を低下させることは身体にとつてかなりの負荷がかかることが予想される.このため，インスリンなどによる血糖コン卜ロールを開始する場合には，内科と眼科が密に連携を取り合うことが最も重要である.