大人の自閉症スペクトラム 障害の診断

摘要

確定診断に至らないケースでも，自閉症スぺク卜ラム障害の特性が認められれば自閉症スぺク卜ラ ム障害を想定した対応をすることが患者に負担をかけないために大切である.一度，自閉症スぺク卜 ラム障害を「正常」と誤診すると，適切な支援を提供することが長期にわたって困難になるリスクが あり，確定診断が'下せない場合には保留とし，特性の有無を確認しながら診療を継続するか専門医に 紹介する.自閉症スぺク卜ラム障害の診断には発達歴の聴取と現在症の把握の両方が必要である.疑 いがあれば，その障害特性を考慮し曖昧ないい方を避け，具体的に指示をするなどの特性に応じた配 慮や環境調整を試みる.成人期には抑うつ状態や不安状態，心気症状などを呈することが少なくない. その際には環境調整とともに状態像に応じた薬物療法を考慮する.