高脂血症:Comorbidityという考え方

摘要

2002年,高脂血症診療ガイドラインは動脈硬化性疾患診療ガイドラインと改訂されて発表された.高脂血症の診療を中心としつつ,ほかのリスクを考慮して動脈硬化を予防することを骨子としたガイドラインである.とくにハイリスク群については十分な配慮が必要で,管理も厳しくすることが要求されている.すなわち,Comorbidity (併存疾患)の質と量により血清LDLコレステロール値の管理目標値がより厳しくなり,冠動脈疾患の既往者ではさらに厳しい管理基準が設けられている.コレステロールを中心におきつつも,併存疾患を考慮するこのガイドラインの策定の背景には,近年非常に重大な問題となってきつつあるメタポリツクシンドロームに代表されるリスク重積に対する厳しい配慮があると考えられる.