専門医の立場から

摘要

過活動膀胱(overactive bladder ： OAB)とは， 「尿意切迫感を有し，通常は頻尿および夜間頻尿を 伴い，切迫性尿失禁を伴うこともあれば伴わない こともある状態」と定義されている.尿意切迫 感とは「急に起こる，抑えられないような強い尿意 で，我慢することが困難な感覚」であり，健常者が 通常の排尿を長く我慢している際に生じる「尿意の 増強」とは全く異なり，通常であれば十分に排尿を 我慢できる状況下であっても，電球が点灯するよ うに「急に」起こり（switch on),排尿を我慢するこ とがきわめて困難な膀胱の知覚である.したがつ て，前立腺肥大症(BPH)症例などに認められる通 常の尿意の増強(intensification of normal urge to void)とはかけ離れたものであると，しつかり認 識することが大切である.後者の場合，しばし ばいわゆる初発尿意量（約150mL前後）で尿意を 感じ，排尿のためにトイレに向かうのであるが， 強い尿意のために排尿前に少量の漏れ(spotting)を伴うことも多い.