乳頭部癌術後孤立性肝転移に対し切除しえた1例

摘要

十二指腸乳頭部癌は膵頭部癌領域の中で予後良好であると言われている．しかし再発巣に対して切除の適応となる場合はきわめて稀である．これは再発時多発性肝転移や腹膜播種が重複し，切除不能な症例が多いからである．今回，筆者らは乳頭部癌に対し膵頭十二指腸切除を施行し，3年後に孤立性肝転移を認め，切除しえた1例を経験したので報告する．2000年5月10日健康診断を目的に当院を初診し，肝機能障害を指摘された．5月12日精査目的で入院となった．十二指腸乳頭部は腫大し，口側隆起は膨隆していた．胆汁の流出は認めたが，開口部は明らかでなく，易出血性で乳頭部癌を疑った．