眼底疾患（1）

摘要

硝子体の混濁物の影が網膜に映ることにより生じる．青空や白い壁などを眺めた時，視野に淡い糸くず状，点状，水玉状のものが見え，それが眼球運動とともに動いて見える症状を飛蚊症という．加齢により硝子体ゲルが液化すると液化した部分に粗な線維性混濁が生じるため，これが飛蚊症を生じさせる．高度近視眼ではより早期に，高度に生じる．硝子体の液化により硝子体が網膜から剥離する（後部硝子体剥離と呼ぶ）と，タバコの煙のようなリング状の混濁を生じる．病的なものとして網膜血管の断裂，網膜裂孔形成時の硝子体出血のため，墨のような混濁が突然生じることがある．このような病的な飛蚊症である可能性は5％前後である．突然生じた飛蚊症は要注意である．診断は散瞳下に細隙灯顕微鏡検査や眼底検査で行う．