高齢者完全直腸脱に対して施行した腹腔鏡下直腸国定術（Wells法）＋Thiersch法の1例

摘要

直腸脱は老年期の女性に好発し，社会の高齢化に伴って患者の平均年齢も上昇している．直腸脱の手術には会陰式アプローチ，経腹式アプローチがある．会陰式アプローチにはGant一三輪＋Thiersch法があり，高齢者や全身状態があまり良好でない症例に対しても手術が施行可能であるが，再発率が高いという短所もある．経腹的アプローチは再発率が低いが，捧痛コントロールや侵襲の大きさなどの問題がある．今回，われわれは開腹術より侵襲が小さい腹腔鏡を用いた直腸固定術＋Thiersch法を施行し，経過良好であった症例を経験したので報告する．