小腸造影検査が手術適応の決定に有効であった大網裂孔ヘルニアの1例

摘要

大網裂孔ヘルニアは比較的稀ながら，これまでに200例近い報告がある．しかし，術前診断に特異的なものはなく，手術適応の決定も容易ではない．今回，小腸造影検査で手術適応を決定し腸管切除を回避できた大網裂孔ヘルニアの手術を経験したので報告する．患者：80歳，女性主訴：吐き気，嘔吐，上腹部痛家族歴：特記すべきことなし．既往歴：73歳時に出血性胃潰瘍で輸血を受けた．開腹手術を受けたことはない．現病歴：2006年5月上旬，朝食後に嘔吐し，腹痛および吐き気が続くため当院外来を受診した．胃内視鏡検査を施行したが異常所見は認めず，外来で補液を行って帰宅した．