進行胆嚢癌の進展様式に応じた術式選択と手術成績

摘要

当教室で経験したpT2以上の進行胆嚢癌119切除例について，進展様式を分類し解析した．①胆嚢限局型は59例で，主に拡大胆摘とS4aS5切除が行われ，5年生存率は61.2%と比較的良好であった．②胆嚢床浸潤型は20例中，S4aS5切除以上12例の5年生存率は46.9％と比較的良好であった．①·②とも胆管切除の有無で有意差は認められなかった．③肝門浸潤型は5例で全例に拡大右葉尾状葉胆管切除が行われたが，3年生存例はなく予後は不良であった．④胆嚢床肝門浸潤型は11例で，9例に広範囲肝切除が行われた．予後は不良であったが，PT4N1 fStage Ⅳaの1例に19.6年の長期生存を認めた．⑤合流部浸潤型は7例で，胆管切除を伴う肝切除または膵頭十二指腸切除（PD）が選択され，5年生存率は83.3%と良好であった．⑥リンパ節転移型は14例で肝切除が11例に行われ，うち5例にPDが付加され，pN3の1例に8.3年の長期生存を認めた．⑦他臓器浸潤型は3例で予後は不良であった．高度進行胆嚢癌の予後は概して不良であるが，長期生存例も認められ，手術侵襲と予後のバランスを考慮しながら慎重に手術適応や術式を判断することが肝要と考えられた．