序論

摘要

胎生期は受精卵からさまざまな臓器が作ら れ，胎児が形づくられる時期である.この場 合，胎児形成は定められたプログラムに忠実 に進められる.これを胎生期プログラミング と呼hでいる.このプログラミングが胎児を 取り卷くさまざまな環境の影響を受けて変化 し，プログラムどおりの胎児にならずに成人病の体質が獲得されてしまうことが，近年判 明した.これを成人病胎生期発症(Developmental Origins of Health and Disease)，略 してDOHaD (ドーハッドと読む）と呼hで いる.一方，小児肥満が成人期にも移行すること から，成人病（生活習慣病）は成人期の生活 習慣を改善させるだけでなく，小児期から正 しい生活習慣を身につける必要があることが 強調されてきた.上述のDOHaDは，これ をさらにさかのぼつて胎児期から正しい生活 環境のもとで過ごすことが重要であることを 説く，ヨーロッパから提唱された概念である.