我が国におけるBrugada症候群の臨床像-我が国におけるエビデンスから－

摘要

1992年Brugada P，Brugada Jにより，安静時の12誘導心電図で右脚ブロックパターンを呈し，複数の右側胸部誘導（V1～V3）でST上昇を示し，電解質異常，QT延長，明らかな心疾患を認めず，心室細動発作を来した8症例が報告された．それ以降，Brugada症候群に関する詳細な検討が行われるようになり，多くの報告が集積されるようになった．海外の大規模研究においてはST上昇が2mm以上のcoved型変化を認める症例が対象とされているが，ST上昇が1mm以上のsaddle back型症例においても心室細動の発症例が報告されていることや，Brugada型心電図の発症に遺伝子多型を背景とする人種間の相違を認めることより，実地診療に即した本邦独自のエビデンスの確立が必要とされている．今回は，徐々に判明してきたBrugada症候群の臨床像について解説する．