睡眠時無呼吸症候群の病因一中枢性無呼吸と閉塞性無呼吸一

摘要

睡眠時無呼吸は，上気道が完全に閉塞（無呼吸）あるいは部分的に閉塞(低呼吸）し，呼吸努力を伴う閉塞性睡眠時無呼吸（obstructive sleep apnea ： OSA)と，呼吸 努力を伴わない中枢性睡眠時無呼吸（central sleep apnea ： CSA)に大別される.心 不全などで見られるチェーン ストークス呼吸（Cheyne-Stokes breathing ： CSB) は，CSAに含まれている.OSAは上気道閉塞が原因で，CSAは呼吸中枢からの換気 ドライブの問題で発症するが，OSAとCSAの判別には呼吸努力を見る必要がある. 呼吸努力を見るには，厳密には食道内圧の測定が必要であるが，全症例に食道内圧セ ンサーを挿入して，終夜睡眠ポリグラフ検査を行うことは現実的ではなく，無呼吸中 の胸腹壁呼吸運動の有無を見ることで，判別することが多い.しカゝし，OSAとCSA は病態生理学的には共通した部分も多く，完全には別物ではないと考えられる.実際， CSAでも上気道が途中から閉塞している症例を見ることがあり，この場合は，呼吸 努力を伴わないので，CSAと判別することになる.