人工股関節全置換術後に肥大化した遺残骨片がインピンジメン卜を生じ早期にインプラン卜の弛みをきたした1例

摘要

股関節に発生した滑膜性骨軟骨腫症に複数回の関節内 遊離体除去術を施行後，二次性の変形性股開節症を生じた例に対し人工股関節全置換術（THA)を行った.術 後に肥大化した遺残骨片が人工関節内にィンピンジメン トを生じ，THA術後早期に再置換術にいたつた1例を 経験したので報告する.2003年4月ごろより左股関節痛が出現した. 近医で左変形性股関節症と診断され経過観察となった. 次第に症状の増悪がみられ2005年12月中旬に手術目的 で当院を紹介され受診した.日本整形外科学会股関節機能判定基準 (JOAスコア）は32点であった.単純X線像では関節 裂隙の狭小化と骨頭の変形，臼底の二重像などを認める 末期変形性股関節症の所見であった（図1).