2．化膿性関節炎2）成人成人に発症した化膿性股関節炎に対する人工股関節全置換術

摘要

成人に発症した化膿性股関節炎には，従来から関節破壊がないか軽度の初期の段階では抗菌薬全身投与，関節ドレナージ，鏡視下部清が行われてきた．しかし関節破壊が進行した症例には切除関節形成術，関節固定術が余儀なく選択された．しかし，その機能的予後は良好とはいえなかった．また感染後の再建としての人工関節置換術は，感染の再燃が危供されるとの理由で選択されることも少なかった．1970年にBuchhoIzらによりポリメチルメタクリレート（PMMA）内に抗菌薬を混入した抗菌薬含有セメント（anti－biotic loaded acryl cement：ALAC）の使用，概念が報告されて以降は，種々の骨·関節感染領域に応用されてきた．それに伴い近年は，化膿性股関節炎に対してALACビーズ充填による2段階人工股関節全置換術（THA）が選択され，その良好な結果も報告されるようになった．