結腸?直腸領域 4.肛門操作からみた腹腔鏡下大腸全摘術における J型回腸囊のさまざまな吻合法について

摘要

大腸全摘術は，主に潰瘍性大腸炎や家族性大腸 腺腫症などの大腸全域に及ぶ疾患に対して行われ る手術である。対象となる患者が少なく，腹腔鏡 下大腸全摘術は十分に浸透している手術ではない。 腹腔鏡下大腸全摘術には腹腔鏡下大腸切除術にお けるすべてのエッセンスが詰め込まれているだけ でなく，特殊な手術手技を要する場面がいくつか ある。なかでも吻合操作にはさまざまな工夫が必 要である。われわれの施設では1990年代から腹腔鏡下大 腸全摘術を行っており，その吻合操作においてこ れまで多くの工夫を施してきた。その工夫の 大部分は，直腸の離断?吻合時の肛門操作に関わ るものである。