QRM-MLDを用いるOFCDM MIMO多重における信頼度情報を用いる適応生き残りシンボルレプリカ候補選択法の特性評価

摘要

本稿では，OFCDM （Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)のMIMO多重において，先に提案した，シンボルレプリカ候補の信頼度情報を用いる適応生き残りシンボルレプリカ候補選択法を適用したQR分解およびMアルゴリズムを用いるシンボルレプリカ候補削減型MLD (Maximum Likelihood Detection)（以下，QRM－MLD）法について，送受信アンテナ数（3および4），データ変調法（QPSK,16QAM)，ターボ符号化のチャネル符号化率（R＝1/2－8/9)をパラメータとして，マルチパスレイリーフェージングチャネルにおける平均ブロック誤り率 (BLER: Block Error Rate)とスループット特性を評価した．シミュレーション結果より，適応生き残リシンボルレプリカ候補選択を用いるQRM－MLD法は，送受信アンテナ数，データ変調法，チャネル符号化率に関わらず,演算量削減を行わないMLD (Full MLD)法からの同一のスループットを実現する受信アンテナ当たりの所要の情報1ビット当たりの平均受信信号エネルギー対雑音電力密度比（E{sub}b/N{sub}0）の劣化を0.5dB程度に抑えることができることを示した．また，100MHz周波数帯域幅を想定したOFCDMアクセス（拡散率8の8コード多重）の4送受信アンテナのMIMO多重において，16QAM変調，R＝8/9のとき，12パスレイリーフェージングチャネルにおいて受信アンテナ当たりの受信E{sub}b/N{sub}0が約9.5dBで1 Gbpsのスループットを実現でき，この場合の演算処理量（信号分離に必要な乗算回数）をFull MLD 法の約1/1900，適応生き残りシンボルレプリカ候補選択を用いないオリジナルのQRM－MLD法の約1/6，およびMMSE法の1.3 倍程度に削減できることを示した．