隣接チャネル間干渉除去を導入したミリ波帯通信システムにおけるマルチチャネルアクセスに関する一検討

摘要

本稿では，隣接チャネル間干渉除去を導入した際のミリ波帯無線通信システムでのマルチチャネルアクセス手法について検討する．60GHz帯を用いるミリ波帯無線通信システムでは，電力増幅器で発生する非線形歪みに伴う隣接チャネルへの送信信号の漏洩が大きく，隣接チャネルを同時使用する際の障害となっている．この隣接チャネル間干渉の問題に対し，これまで筆者らは受信機における繰り返し信号処理によって干渉の除去を行う手法について検討してきた．しかし，提案手法に関しては，リンクレベルの特性評価のみにとどまっており，システムレベルでマルチチャネルアクセスを行う際の干渉除去の適用方法についての検討は行っていなかった．そこで本稿では，筆者らが提案した干渉除去機能を適用した，マルチチャネルアクセス方式について検討し，計算機シミュレーションによって，干渉除去機能の有効性をシステムレベルの伝送特性の評価によって確認する．