チャネル占有率情報を用いた周波数共用に関する一検討

摘要

本稿では，CSMA/CAで動作する無線LANの既存無線通信システム（Primary User PU）と新規参入無線通信システム（Secondary User，SU）が共存する環境を想定し，SUがPUのチャネル占有率（Channel Occupancy RateCOR）情報を用いて周波数共用を行う方法の検討を行う．本周波数共用では，SUがPUのパフォーマンスを保証し，自身のパフォーマンスを最大化することを目的とする．また，従来のCOR情報を用いた周波数共用法と同様に，1：PUのCOR堆定，2：目標CORの決定，3：自身のCORの制御というステップで動作する．従来法では，PUのCORを推定する期間の長さは，推定誤差がある値以下になるように決めている．しかし，推定期間長はPU及びSUのパフォーマンスに影響を与えることから，本稿ではPUのパフォーマンスに対して保護基準を設定し，基準を満たすように推定長を決める．SUは自分の目標CORを決定する際に，COR上限値情報が必要となる．SUはCOR上限値からPUのCOR推定値を引いた差分を目標CORとする．このとき，上限CORは環境に応じて変化する．従来方式ではワーストケースのCOR上限値を導出していたが，本稿では，PUのCOR推定値を用いて，環境に応じた上限CORを求め，それを用いることでよりSUのCORを増加させることを可能とする．また，SU自身のCORの制御方法は，従来方式と同様に最小コンテンションウインドを制御することで実現させる．従来方式では，探索的なアプローチで最小コンテンションウインドを制御していたのに対して，提案方式では環境に応じた最適な最小コンテンションウインドサイズを使用する．計算機シミュレーションにより，提案法は，従来法に比べてPUを保護しつつ，よりSUのスループット特性を改善可能であることを確認した．