複合材料成形技術の最前線 5.大型FRP構造物に対する真空含浸成形法適用の発展と確立

摘要

FRP 成形において，VaRTM (Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形法の出現と，それに適する多軸ステッチ織物やゲル化時間の長い低粘度樹脂，専用の成形資材などの材料技術の発展は，それまで主流であった大型構造物に対する手積み成形の脱3K化や品質安定·向上という益をもたらした.今や，プレジャーボート，ヨット，大型舟艇，風車発電ブレードなどのGFRP成形物のみならず，オートクレーブ主体であった航空機のCFRP構造部品などにも適用されるようになり，大型構造物の工業的生産法としての地位を確立した.ここでは，VaRTM成形技術が発展してきた経緯を振り返ると共に，本成形を実施する際に影響を受ける主な成形要素や大型構造への適用例などを紹介する.