温度および吸水状態の変化により炭素繊維／エポキシ複合材に発生する残留応力

摘要

本研究では，温度，水といった環境の変化により複合材に発生，変動する内部応力を明らかにすることを目的とし，環境変化前後に繊維に発生する応力を，炭素繊維／エポキシからなる単繊維モデル複合材を用いて，ラマン分光法により測定した．環境因子として温度および水に着目し，単繊維複合材を大気中で加熱·冷却および常温で水浸漬·乾燥することにより，温度履歴や吸水状態の変化が内部応力に及ぼす影響を調べた．さらに，温度と吸水の影響が重畳する温水浸漬·乾燥について繊維応力の変化を測定し，この場会には環境変化のサイクル前後で繊維応力が不可逆となることを明らかにした．また，大気中で様々な温度における複合材中の繊維応力を測定することにより，この不可逆変化の原因について検討した．