ジュート繊維強化ポリプロピレン射出成形板の破壊強度に及ぼす切欠きと引張速度の影響

摘要

FRP（Fiber Reinforced Plastics）は，軽くて強い材料として多くの分野で広く使用されている．そのなかでも天然繊維を強化材としたFRPは，安価で，製造時のエネルギーが小さく，リサイクルも従来のガラス繊維等に比べ容易（サーマルリサイクルを含む）であることから，ガラス繊維強化複合材料（GFRP）の代替として期待されている．このため，講座として1980年代から2005年までのグリーンコンポジットの研究の背景および研究の動向が概説されたものや多くの書物が発行されている．天然繊維を強化材とするFRPに関する研究は活発に行われ，そこでは天然繊維の処理方法，界面強度の改善，成形方法，力学特性の研究等がなされている．また，本報で使用したジュート繊維は1年生植物であるため，成長速度も速く供給は安定し，比較的廉価であるため，汎用可能な強化材として有望である．このためジュート繊維で強化したFRPの研究も多くなされている．しかし，その研究の歴史はガラス繊維や炭素繊維を強化材とするFRPに比べ浅く，そのため研究例は他のFRPに比べると少ない．