高級維体積分率を有する射出成形ガラス繊維／ポリアミド66複合材料の微視構造と引張特性

摘要

ファスナーに使用されるスライダ（持ち手のついた開閉用部品）はダイカストやプレスで作られる金属製が大部分を占めているが，今日の服や鞄の軽量化ニーズに伴い樹脂製スライダへの代替要望が大きくなっている．樹脂製スライダには高強度·高剛性·良摺動性などが要求され，高繊維体積分率を有するガラス繊維／ポリアミド66 （GF／PA66）複合材料が注目されている．樹脂製スライダは射出成形によって作製されるため，Fig.1に示すように内部微視構造は複雑な繊維配向を有しており，製品部位により力学特性が大きく異なるため，力学特性と繊維配向の関連性を明確にする必要がある．また，樹脂製スライダは小型製品であり，製品厚みを薄く設計する必要があるため，材料自体に高剛性を付与する必要がある．さらに，小さい金型にて成形する必要があるため，樹脂の溶融時の流動性が重要となる．このような高剛性と易流動性を両立した材料として，ガラス繊維を41vo1%（60wt%）程度添加した複合材料の有効性が経験的に知られているが，詳細な知見を得られていない．