Al{sub}2O{sub}3/A6061合金MMCの中高温疲労特性と疲労き裂進展特性

摘要

金属材料の高機能化を目指して，1950年代後半から金属材料とセラミックスなどの無機材料を複合させた金属基複合材料(Metal Matrix Composite: MMC)の研究·開発が行われてきた．1980年代以降にはアルミニウム合金をマトリックス材，SiC，Al{sub}O{sub}3などの粒子や短繊維を強化材とするMMCの開発が盛hに行われるようになり，短繊維強化MMCが機械的性質（強度，弾性率等），機能的性質（耐摩耗性，熱膨張係数等）の良さから自動車用エンジン部材として実用化された．その後MMCは自動車を取り巻く社会的背景（高出力化，排ガス規制など）を受けて改良が進められ,弱点とされてきた強化材とマトリックス材との界面をより強化なものとするため，従来とはまったく異なるMMC製造プロセスによる第三世代MMCの開発が行われるに至った．近年はMMC の優れた特性が評価されて，自動車産業界のみならず航空機などの各種構造材料，高温環境機器用構造部材など，新しい利用分野が模索されている．著者らの一人も短繊維を2次元および3次元ランダムに配向させたMMC の熱膨張安定性の良さに注目し，精密機械部品の位置決め部材などへの適用を目的とした高圧鋳造Al{sub}2O{sub}3短繊推強化アルミニウム合金MMCの開発を行ってきた．