明治初期の植木屋(上)

摘要

1690年(元禄3年)に上方なで出版された「人倫訓蒙」という絵付き風俗事典に、植木屋の記載がある。「植木屋は诸国にもとめて屈曲の風流をなし、石台木うえもろもろ 一あきな,等に植、諸々の草花とともに商うとある。」植木屋は庭園や盆栽用のまつやかえでなどの樹木、つつじやつばきなど、花卉園芸用b樹木のほか、鑑賞用のキクやアサガォ、ォモトなどの草本類を育成して販売した(まつ、かえでなど和名の無いものは平仮名表示とした)。造園、園芸関係の材料も扱つた。また、庭園の造成にも関係したと考えられる。植木屋高名鏡の職種を見ると、花園樹斎、地木師など多くは樹木を扱った植木屋である。江戸時代、大名庭園や神社.仏閣の庭園の造成、管理は植木屋によつて行われた。江戸、大阪ゃ京都の都市の近郊には、庭園や園芸を楽しむ庶民のための植木屋集団が発生した。明治初年、家業の宣伝のため、当時の有名な植木屋約100名の番付が発表された。これらの中には株式会社など経営形態は異なるが、発展して現在まで続いているものもある。園芸植物についての番付は、人名ではなく、植物の名称についてのものが多い。現在では植木屋は「造園土木株式会社」と言う名称が多い。番付の「植木師花園樹斎鈴木孫八」といった風流はない。