販売力強化策としてのタイペックマルチ

摘要

今年のミカン生産量を一二〇万トン台に抑えるのは、現状では至難の業である。 それだけにタイペックマルチによる高品質生産は必須の対策であると同時に、マルチで生産された果実の販売に対する考え方も、マルチ栽培そのものの変化に応じて、改めて検討することが必要である。 　 マルチ栽培が実施された始めた一〇年くらい前は、「マルチミカン」の名称で出荷すれば、市場ではそれなりの価格で取引きされた。それはマルチ栽培のミカンは、糖度が高く美味しいといわれたからである。しかしそれも二～三年すると、マルチ技術の不徹底とシートを被覆さえすればよいという安易な考え方から、マルチミカンとして出荷されたミカンも産地による価格差が大きくなり、ついには、マルチの名称がついた銘柄は、特選ミカンのなかではかえって安価なものが多くなった。