くだものマ—ケティング講座 第六回 グローバル化に適応するリンゴ生産の可能性-知的財産権の強化と生産者ネットヮークの役割(3)-

摘要

前回は、「クラブ制」による商標の管理および販売の仕組みと、日本ピンクレディ協会設立の経緯、会員の居住地と栽培経過について整理した。本稿では、日本ピンクレディー協会「会員の特性と協会の抱える課題、協会および生産者のネットヮクの有効性について説明し、まとめとしたい。まず、協会の会長を務めるN氏について説明する。N氏は、大学卒業後の一九八一一年に就農した。.父の代までは兼業農家であつたが、N氏は専業で取り組み、一九九六年より有限会社化した。以降は、集落内および近隣地区の農家三〇数戸から樹園地を借り、二〇〇八年現在、一三haの樹園地でリンゴを中心に、洋ナシ.日本ナシ.プル，Iンを栽培し、七人のスタツフを雇用している。近年は、日本にとどまらず、ル1マニアにもリンゴ園を取得し(二〇〇五年)、現地の管理者を雇用して「ふじ」を栽培している。その交友関係は広く、一一〇〇八年には懇意にしているォ！ストリアのリンゴ農園の後継者(子息)を研修生として引き受けた。また、新規就農を目指す農業研修生の受け入れや雇用するスタッフの独立支援にも力を入れている。