Musculoskeletal Tumor 骨-軟部腫瘍悪性骨軟部腫瘍に対する補助化学療法(2018) 骨の肉腫(骨肉腫，高齢者）に対する補助化学療法

摘要

骨肉腫，ユーイング肉腫など悪性骨軟部腫瘍(肉腫）に対する補助化学療法は，悪性腫瘍に対する補助化学療法の嚆矢として，1970年代に輝かしくがh治療の世界に登場した。それまで，ほぼ不治の病であった骨肉腫の治療成 績が，補助化学療法の導入によって一気に5年全生存率60%前後まで改善したという事実は大きな驚きをもって迎 えられ，その後の肉腫，固形がhの治療開発に大きな影響を与えてきた。Rosen, Jaffeらによって骨肉腫に対する 補助化学療法，患肢温存術が一気に花開いた1972年からの数年間は，Einsteinによる相対性理論の発表によって物 理学の世界が一変した1905年にも比肩される肉腫医療の"奇跡の年"といっても過言ではない。ただ，光が明るく強いほど，その影も長く大きく伸びるのは世の理であり，1972年以後，肉腫の治療開発は"奇 跡の年"に成し遂げられた業績の追試，提唱されたコンセプトの検証に多くが費やされ，新規の治療法，新規薬剤 の開発がいささか停滞気味であったことは否めない。また，骨肉腫で劇的な効果を示した補助化学療法が軟部肉腫 においては，それほど顕著な効果を示さなかったことも停滞感を強くする一因ともなつてきた。